ここでは、環状オリゴ糖を使った “包接体”技術についてご紹介します。
どのように使われているかいっしょに学んでいきましょう!
環状オリゴ糖って?
環状オリゴ糖は、トウモロコシのでんぷんから酵素の力でつくられるオリゴ糖で、ブドウ糖同士が繋がったカップのような形をしています。大きさはなんとナノサイズ!そのため、世界で一番小さなカプセルと言われています。また、ブドウ糖の数によって、名前や性質、はたらきが変わります。
環状オリゴ糖には、ブドウ糖が6つのα(アルファ)、7つのβ(ベータ)、8つのγ(ガンマ)の3種類があります。
今回は、成分を守る・届けるチカラが強いγオリゴ糖の特徴を紹介します。
様々な問題を解決!γオリゴ糖
カラダにとって有効な成分の中には、熱に弱かったり、苦みがあって美味しくない、吸収性が悪いなど問題を抱えている成分も少なくありません。そこで、γオリゴ糖で、その成分を包み込むことで問題を解決!γオリゴ糖で包み込まれた成分は”包接体”と呼ばれています。
その1. 吸収性をアップ!γオリゴ糖
わたしたちのカラダに必要なエネルギーづくりに欠かせない成分「コエンザイムQ10(CoQ10)」は、油になじみやすく、そのままでは吸収されにくいため、包接体にしてカラダに吸収されやすくすることができます。
γオリゴ糖がCoQ10を包接してカラダのなかに届けます
吸収性がアップする仕組みを動画で観てみよう!
コエンザイムQ10(CoQ10)粉末とCoQ10包接体の吸収性比較
男女各12名の合計24名を対象としたヒト試験では、CoQ10として1日30mg摂取したグループと比べて包接体150mg(CoQ10で30mg相当)を摂取したグループのCoQ10の血中濃度は約18倍高い結果となりました。さらに摂取後48時間後も継続しました。
参考:株式会社シクロケムバイオ 研究成果 第54回 γ-シクロデキストリンによるコエンザイムQ10の生物学的利用能の向上
その2. 苦み、渋みを抑えるγオリゴ糖
健康や美容にうれしい成分を含む中国茶の苦丁茶は、とても苦くてそのままでは飲みづらいお茶です。
環状オリゴ糖で苦味成分を“包接”することで、苦みをやわらげて飲みやすくすることができます。
水(120mL)に苦丁茶抽出物(0.4g)または苦丁茶包接体(1.2g:苦丁茶抽出物を0.4g含む)を添加したサンプルを調製し、14名の方を対象に官能試験で苦みを比較した結果、包接体にすることで、苦丁茶の苦みが低減されました。
参考:株式会社シクロケム γ-CDによる苦丁茶抽出物の物性改善 苦み低減試験
その3. 酸化しやすい成分を守るγオリゴ糖
ヘルシーオイルとして人気のアマニ油には、空気に触れると酸化されやすい成分が含まれています。
γオリゴ糖はアマニ油の成分を包接して、酸化から守ります。
アマニ油とアマニ油包接体の酸化安定性をランシマット法(120℃、20L/hr、乾燥空気)を用いて比較検討したところ、包接体にすることでアマニ油の酸化安定性を向上させることができました。
参考:株式会社シクロケムバイオ 研究成果 第83回 γ-シクロデキストリンによるアマニ油の安定性と溶解度の向上